11.隙間
 
そらへ還る

大切なひとの、大切な魂が、天へと還っていく。
すべてが浄化されるような、白銀のそら。

こんな日ならば、俺の罪までも許されるだろうか。
こんなときに便乗しようなんて根性のヤツは駄目かなぁ〜
なぁ、レオニス。どう思う?

声をかけたいのに、かけられない。
そんなこと普段は滅多にないけれど。
さすがに物思いにふける今のレオニスは、そっとしておいてやりたい。
だって、15年だ。こういうの純愛って言うんだろうねぇ。根っから真っ直ぐな性根のこういうやつが、生涯かけて愛するようなそんな想いに俺なんか敵うわけない。
そうさ、わかってる。元々どう逆立ちしたって敵いっこない相手さ。ライバルは、容姿端麗、頭脳明晰、そして分け隔てなく誰にでも優しい完全なる王妃様。オマケにもう死んでるんだ。死人相手に戦うのは、更に分が悪いじゃないか。
でも、だからって諦められるぐらいなら、最初からこんなやつにちょっかいなんてださないさ。元来、女好きだし。男なんて冗談じゃないって思ってたんだ。なのに、どうしてこんなことになっちゃったのかなぁ。われながら途方にくれる。相手が悪すぎるじゃないか。有利なゲームが好きだったのになぁ。

なぁ、一番になりたいなんて云わないから。アンタの心の隙間に、せめて入っていけないかな。
忘れろったってそんな想いは、忘れられっこないよ。でも死人は冷たいじゃないか。アンタが寒いときにあっためてくれはしないだろう? だから、せめて雪の中立ち尽くして、寒さを感じたとき、アンタの背中にあるぬくもりに、気づいてくれよ。
俺はアンタの望むものを、きっと何一つ持っていないけど、体温だけはあるから――


End.


2004.12.15  天羽りんと

珍しくシオン一人称。小説未満のモノローグで失礼しました。颯城さんのイラストから受けたイメージ&シオレオ語りからさくっと書いてみました。