短髪シルフィス

結った髪が斬り捨てた敵に絡まるように引かれた
一瞬の逡巡
剣の露を払い、戸惑う事もなく
一気に結った根本に剣を入れる
頭皮が引かれるような小さな痛みと共に
ざく、と細い糸を断ち切るような感覚が手に伝わった

優しい感覚だ
肉を斬るよりも、よほど
頬を伝う血を乱暴に拭い
油断無く辺りを見回す

既に、彼がどこにいるのか、分からなくなってしまっている
止むことのない、轟音。剣戟
肌を掠めて弾ける熱
翻した剣先で、新たに命を絶ち切った

戸惑いなどない
どれほど汚れようと私は誓ったのだから

―――貴方を一人残したりはしない

2004.拍手用絵