カーテンレールが心配です

痛みは無い。
いや、飽和しているという方が正しいかもしれなかった。
十字を象った金属が布越しに触れる箇所から浸蝕するように身を蝕む熱。
灼けるような、熱だけが。
指先一つすら自分の思惑を裏切って、まともに言うことを聞こうとはしない。
それなのに感覚ばかりが剥き出しに冴えて逆流してくる。
窓ガラスを叩くような音と、カーテンレールが悲鳴を上げる耳障りな音が空気を震わせて、初めて最早立っていることも困難だということを自覚した。

たかが金属の塊一つで。
なんと忌々しい身体であることか。

2005.02.13
神父シオン×吸血鬼レオニス