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花の
猫乃美海様




ある晴れた日、シオンは街に遊びにでかけていた。
用事があったわけではなく、ただ暇だったからぶらぶらとしていた。
花屋に入って何か新しい品種の花はないか見ていて、ふと広場のほうを見ると、大切な恋人の姿があった。 声をかけようと思い、店を出て広場のほうへ向かった。
しかし、声をかける前にシオンは足を止めた。
恋人の隣に一人誰かがいるのが見えたから。
(レオニス・・・・・)
一瞬声をかけるのをためらったが、向こうが気付いたらしく目があった。
「シオン様、こんにちは。」
「よう、シルフィス。隊長殿とデートかい?やれやれ、冷たいねぇ。俺のことはぜんぜん誘ってくれないんだからなぁ。」
わざと冗談っぽく言うがこれは俺の本心。
「デートじゃありません!巡回ですよ。」
シルフィスが焦って言うがその態度もごまかしのように見えて腹が立つ。
シルフィスには、俺の不機嫌がなんとなくは伝わっているようだ。
困った顔をしてこちらを見ている。
「シオン様。さきほどアイシュ様が探しておられましたが。」
「ああ。それなら行ってみますか。」
レオニスの言葉を聞いて俺はその場を去った。
これ以上ここに居たら、シルフィスを傷つけることを言ってしまいそうだったから。

多分巡回というのは本当だろうし、あの二人は別に、ただの上司と部下という関係だろう。
わかっているのだが、シオンの胸中は穏やかではない。
嫉妬という感情がうずまいている。
「やれやれ。・・・重傷かな。」
こんなに好きになってたとはと小さくシオンは呟いた。

閉じ込めて、束縛して・・・・・翠色の瞳には俺しか映らないようにしてしまいたい。
そんな―――独占欲。


コンコン 静かに戸を叩く音が聞こえた。
「どうぞ」
読んでいた本から目を離し、シオンは扉を見つめた。
「失礼します。」
声で誰だかはわかったが、視界に飛び込んできたのは他のものだった。
白い小さな花。見たことのない花だった。
「シルフィス。・・・それは?」
シオンは白い花の後ろから顔をのぞかせた恋人に問い掛けた。
「こんばんは。たまたま珍しい花が手に入ったので、差し上げようと思って。花はお好きでしたよね。」
「初めて見るな。その花は。」
なんという花なんだときくとシルフィスは、名はないといって花にまつわる話をしてくれた。
「この花は女神がアンヘル族に贈った花とされていて「真実の愛」をあらわす花です。
この花に自分の名前をつけて恋人に贈り、その花にかけて、愛を誓うんです。
そして、贈られた花はけして枯れることはなく、贈り主が心変わりした時、花は赤く染まり、贈り主が死んだとき、この花は枯れ るんです。」
シオンは黙って聞いていたが微笑みながらシルフィスを見つめて聞いた。
「で 俺にこの花をくれた理由は?」
シルフィスは頬を赤く染めながら小さな声で答えた。
「シオン様が、隊長と私を疑うから・・・」
シオンはくすくす笑いながら、シルフィスを抱きしめた。
「嫉妬深い俺への反抗かい?こんなことされたらもう疑えないな。」
「疑わないでくださいよ。」
ふくれるシルフィスの額にキスをすると、シオンは抱きしめる腕に力をこめた。
「ありがとな。でも二人のときは『様』はいらないって言っただろ?」
「あ、すいません。」
「しかし、どこで手に入れたんだ?クラインじゃあ見かけない花だな。」
シルフィスを抱きしめる腕の力をゆるめずに、シオンは聞いた。
シルフィスは少し苦しそうにしていたが、やがて観念したのか、力をぬいてシオンに体をあづけてきた。
「親が送ってくれたんです。前に手紙でシオンのことを書いたら…。」
「なんてかいたんだ?」
「秘密です。」
シオンはふと笑うとシルフィスを押し倒し、シルフィスの唇にキスを落として耳元に囁きかけた。
「そう言われると訊きたくなるな。」
シルフィスはくすぐったそうにしていたが、シオンの首に腕をまわして今度は自分から口付けた。 突然のことで驚いているシオンの下から抜け出して、シオンに一声かけると、そのまま部屋から出ていった。
「大切な人って書いたんです。あとは秘密です。」
と。


その日から一週間ほどシオンが行方をくらまし、そしてシオンが帰ってきた次の日からシルフィスの部屋にシオンという名の花 が真っ白に咲き誇っているというのはまた別のお話。

- END -
 


終わりです
なんかくだらない話ですいません
文才ないです(涙)
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです
それでは

 
***

シオン様かっこいい(><)
隊長に焼き餅焼いてます〜vvふふふ
シルフィスも健気で可愛いです

幸せ〜。ありがとうございました♪
くだらないなんてとんでもないです!
だからまたください!(刺殺)


 


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